2025 Spring/Summer
ただ、食べかけのリンゴが転がっていた。
とりあえずは何が起きたのかを辿ろうとしたが、欠落した時間と記憶はモザイクが掛かったポルノ映像のようだ。
思い出したから何になるんだ。
無駄な事だ。
諦めよう。
見えないからといっても困ることはない。
昨晩の記憶を失った男など珍しいことではない。
そう、「私」というペルソナは窮屈なビキニパンツのようで直視で見てはいけない。
そう、見てはいけない。
見てはいけない。
見てはいけない。