6月12日(金)~7月18日(土)までhpgrp GALLERY TOKYOにて個展「今はない-part.2-」を好評開催のこんのげんさん作品のコンセプトや制作エピソードまで様々なお話を伺いしました。 ー今回展示しているのは、木のキューブを組み合わせて作り上げた作品が火災に見舞われ、焼けた状態のものとお伺いしました。元々の作品のコンセプトはどのようなものだったのでしょうか? 大袈裟な話になるかもしれませんが、テーマは「宇宙の循環」です。この世に存在しているものは全部同じものはなく、全てが「異質」ですよね。ひとつとして同じものがない。でも、細かくして原子や粒子の段階まで分類すると、ほとんどひとつに近くなっていく。「同質」に近づくんです。それを例え話に木のキューブを作り、組み合わせて異質な人間の形を作ったんです。ーなぜ人間をモチーフとして選んだのですか? 人間でなくても良かったけれど、私がたまたま人間だったので人間をモチーフにしました。「異質」なものが壊れていって「同質」なものに還っていくこともあります。単純な循環でなく、重層的で、いろいろなものが組み合わさった循環で成り立っているんじゃないかと思うんです。 創るという過程、生成の過程は自分でできたんです。キューブを組み合わせて、モデリングして、削って。でも、この循環の中でも、消滅という過程は自分では創り出せなかった。自分で壊したり、焼いたりしてみようかと思ったこともあったけれど、なかなかする気にならなかったんです。ーそんなときに火事に見舞われた、ということですね。 はい。火事にあったアトリエを見たら、これらの炭化物が転がっていました。それらをかき集めて見たら、これは自分が考えていた循環の一番上だ、ということに気がついたんです。火事という事実はあまり意識していません。 以前の展示風景ー「今はない」というタイトルにはどんな想いをお持ちですか? 循環にはいっときも静止した瞬間、「今」がない。だから「今はない」というタイトルを付けました。ただ同質と異質というだけでなく、動き。流動的な動きがある。要するにコスモスからカオスに、形あるものが混沌に戻り、混沌としたものの中から同質なものが生まれ、また異質なものを形作る。全体の循環、単純なものが組み合わせられてできたのではない、重層的な循環で、動いているイメージがあるんです。ー作品やエピソードのもつ重質感とは裏腹に、流動的なんですね。 今って、ないんです。今と思った瞬間には今ではなくなっている、今がなくなった、と思う瞬間には次の今でもなくなっている。単純に言えばそれだけなんです。 こんのげん-profile- 1986年 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業 1988年 東京藝術大学大学院美術学部彫刻科修了 1990年 東京藝術大学大学院美術学部保存修復技術修了 [個展歴] 2017年「UNVERSISM-今はない-」destination TOKYO WINDOW GALLERY 2015年 三越千葉店 2013年 スペースガレリア 三越千葉店 2012年「BU TU ZO U」 hpgrp GALLERY NY 2011年 スペースガレリア 三越千葉店 2010年 ギャラリー銀座一丁目 2009年 Hammond Museum ギャラリー銀座一丁目 スペースガレリア 三越千葉店 2008年 ポザール ミュー destination Art Space NY 2007年 COM・POSE スペースガレリア destination Tokyo WINDOW GALLERY 2006年 スペースガレリア 2005年 WINDOW GALLERY MARUNOUCHI 2004年 電力館 スペースガレリア 千葉銀アートギャラリー 2002年 田園の美術館 スペースガレリア 三越日本橋店 1999年 彩林堂画廊 NHK千葉マリンプラザ 1998年 松屋銀座 1988年 みゆき画廊 [開催中の展示詳細] ■hpgrp GALLERY TOKYO こんのげん 個展「今はない -part.2-」 2020年6月12日(金) ~ 2020年7月18日(土) 12:00~19:30(日・月・火定休) 会期終了間近となっておりますのでご注意ください。