対談 WOUTERS&HENDRIX
35年の軌跡
2019年、ベルギー出身のジュエリーデュオ、WOUTERS&HENDRIX(ウッターズ・アンド・ヘンドリックス)はデビューから35周年を迎えた。そして、アントワープのDIVAダイヤモンド博物館と、2020年2月に開催されたクリエイションの祭典「rooms(ルームス)」にて特別企画展を開催した。rooms開催に合わせ12年ぶりに来日したデザイナーのカトリン・ウッターとカレン・ヘンドリックスが、同ブランドのコレクターである記憶 H.P.FRANCEの古田絵里と対談を行った。
2020年2月rooms会場にて 左からカトリン・ウッター、カレン・ヘンドリックス、古田絵里(記憶 H.P.FRANCE)
35年絶えず続いてきた創作活動
古田 この度は、来日してくださり有り難うございます。そして、ブランド誕生から35周年おめでとうございます。WOUTERS&HENDRIXのアイコン的なコレクションに「節目」を意味するチャプターズリングがありますが、この35年間を振り返って、節目だと感じる瞬間はありますか?
カトリン 年に二回、毎シーズンコレクションを出し続けていると、やはり自分達にとって他のシーズンよりも思い入れや印象が深く、インパクトの強いコレクションがいくつか存在します。
カレン クリエイションだけでなく、例えば、私達がアントワープに第一号店を出した時(2001年)も、重要な軌跡であり、一つの節目だと感じますね。
カトリン 特に、デビューして間もない1994年に発表した“Marie D'Anniell”はとても重要なコレクションでした。シーズン毎にインスピレーション源がありますが、この時は、幼い頃に祖母の家で見つけた箱がテーマでした。その箱には小さな鍵や取れてしまったボタンなどガラクタが沢山入っていて、ある時中身を全部出して並べて見ると、そこに祖母の人生が全て繋がって見えることに気づきました。そんな発想で作ったのが、この“Marie D'Anniell”です。ヨーロッパ中でアンティークのパーツを買い集め、一つ一つが違うヒストリーを語ることを表現しました。
展示会で発表した時は、「わっ!素敵」と感動されるか、「よくもこんなガラクタを集めた」と批判されるか、反応も二極化しましたね。色々な意味で思い入れのあるコレクションです。異なるパーツを集めた時、私達も予期せぬ形でまた新たなヒストリーを語るという手法を初めて具現化し、その後の作風にも大きな影響を与えました。
古田 二人の35年間も、毎シーズンのコレクションがあって、その歴史を生み出しているのですね。