フェイスブックアイコン インスタグラムアイコン ツイッターアイコン

DESIGNER Carolina Bucci(キャロリーナ・ブッチ)

 

フィレンツェの歴史を繋ぐパーソナルジュエリー

 

“ものづくり”の価値とは何でしょうか。とりわけ自分以外の誰かのために作る場合、
この問いかけがとても大切であり、一言で伝えられるほど単純なものでもありません。





私がジュエリーデザイナーとして最も重要だと考える要素は、自分の想いや経験を、現実世界で日々身につけるアイテムに落とし込むこと。単なる装飾品としてのジュエリーではなく、外面的な“美しさ”と、内面に込められた“意味”という両方の価値を兼ね備える必要があります。1885年よりフィレンツェで代々ジュエリーを作り続けてきた家族の歴史、幼少の頃フォルテ・デイ・マルミのビーチでブレスレットを作って過ごした夏の思い出、穏やかで美しいフィレンツェと慌しいニューヨークを行き来する生活、さらに今は母として、妻としての人生について。これらの全てが、私がデザインするジュエリー、時計、ショップなどあらゆるものに凝縮されています。

ブランドが人々に共感してもらうためには、真実味を持たせる必要があると考えます。一番簡単な方法は、自分自身のためにデザインすること。私は、誰かの好みを想像することは決して無く、ただ自分が身につけたいものを作ります。それが、結果的に他の人々にも気に入ってもらえたら嬉しい。そして、そういったデザインはいたってシンプルで、予測不可能なものです。私は今、このコラムをニューヨークにある自宅のデスクで書いています。デスクの上は、スターリング・ルビーのスプレーペイント、ヴェルドゥーラのブローチ、イタリア様式の庭園、アメリカ先住民のヘッドドレス、カルロ・モリーノの写真、ギャラリー「Axel Vervoordt」に展示された侘寂など、様々なイメージやアイデアのカケラで溢れかえっています。ここに座る時はいつでも、色々な感情や経験の中から何か新しいイメージの組み合わせを見出すことができ、また新たなコレクションへと繋がっていきます。しかし、その過程には何の計画も戦略もなく、ただ自分の感性に従っているだけ。私は自分の心と目でデザインし、常に周囲に目を向けています。

私達は、最近ロンドンに新しいショップをオープンしました。ブランドの世界観を見て感じることができるよう一生懸命デザインした店内には、3つの空間が用意されています。1960年代のイタリア家具とアート、オーダーメイドストーンのフロア、そして上質な家具でしつらえた空間。しかし、より重要なことは、ブランドの背景をこのショップで体感できること。ここで、私達が最も大切にしている4つの要素をお伝えします。







Craft 手作業

ブランドの真髄とも言える要素で、フィレンツェの職人たちの輝かしい歴史を繋いでいます。さらに、ハンドメイドのグラスやキャンドルを作るためにヴェネチア・ムラーノ島のガラス吹き工と仕事をしたり、ミケランジェロのダビデ像と同じくカッラーラで取れる数世紀前の大理石で商品を作ったりもします。





Innovation 革新

新作コレクション「FORTE beads(フォルテ・ビーズ)」は、過去のコレクションを新しい形に昇華させたもの。今回は、子供が大好きなカラフルなビーズのブレスレットを、セミプレシャスストーンと18Kフロレンティーヌフィニッシュのビーズで作るというまったく新しいスタイルに挑戦しました。





Collaboration コラボレーション

Carolina Bucciはジュエリーブランドですが、ブランドの美学を体現する手段はジュエリーに限ったことではありません。最近の活動で、特に気に入っているプロジェクトの一つは、スイスの時計ブランド「オーデマ・ピケ」とコラボレーションした限定モデルです。


Family 家族

私達はファミリービジネスであることを誇りに想っています。そして、特にお客様をはじめ、スタッフ、ビジネスパートナーなど、Carolina Bucciのコミュニティに足を踏み入れたあらゆる人々に、このファミリーの想いを広めていきたい。ただ買い物をするだけでなく、お客様と一緒に特別な時間を共有できるような場所を、私達はまた新たに時間をかけて作っていきます。


 
 

-PROFILE-


Carolina Bucci(キャロリーナ・ブッチ)

1885年より、フィレンツェのポンテベッキオにて宝石業を営む歴史深いジュエラー一族の家庭で育つ。何世紀も伝わる金糸機織の技術を使い、カラフルなシルクコードとゴールドを編み込んだ【WOVEN】を生み出し、自身のブランドをスタート。先祖から伝わる技術や道具を大切に繋ぎ、現代モードなファインジュエリーを日常へ、カジュアルに愛用できるアイテムを提案している。