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Episode.14 日常に溶け込むジュエリー


蒔田 勇士

drama H.P.FRANCE 新宿店 店長
   


 

着こなしの幅が広がる、ジュエリーの魅力


アッシュ・ペー・フランスで最初に購入したのは、新卒入社後destination Tokyoでの研修中に出会った、IOSSELLIANI(イオッセリアーニ)の8連リングでした。その中で“ALBA(アルバ)”を選んだ理由は、異なる形の8つのリングを組み合わせた「不完全な美」に惹かれたからです。整ったきれいな形は誰が見ても美しいと思うものですが、対してALBAの不揃いなバランスに、自分だけの美しさを見出せた気がしました。とても気に入っていて、愛着があるアイテムです。
最初に購入したIOSSELLIANIの“ALBA”。
元々は洋服が大好きで、アッシュ・ペー・フランスに入社するまでは特別ジュエリーを身に着ける習慣はありませんでした。drama H.P.FRANCE配属当初も、自分には着けない前提でお客様にもご紹介していました。しかしある時、洋服だけでは変えられない雰囲気を、小物合わせによって違う楽しみ方ができるという発見から、徐々にジュエリーの魅力にハマっていきました。最初は一点から、そして少しずつ身に着けるアイテムが増えていき、最終的にはゴールドとシルバーをミックスして使うように。今では、自分が着けると一番可愛い、と思います(笑)。
コレクションへのこだわりは「整いすぎないこと」、そして、装飾的であっても、全体を俯瞰して見た時にコーディネートと馴染むアイテムを選びます。元来、ジュエリーは女性向けにデザインされたものが多いので、それを男性である自分が身に着けた時、いかに魅力的に魅せられるかという点にこだわって、日々のコーディネートを考えています。

 ミックス感が好きなので、シルバーのみのリングは一点のみで、それ以外はシルバーとゴールドが合わさっているデザインをチョイス。どちらも良いとこ取りです。
中央 チェーンリング :CAFCA / その上に重ねたリング :CAFCA、GICLAT / 中央右 四連リング VEKKEN by :CAFCA / 右手前 二連リング G2MIX / 左中央 リング hirondelle et pépin / 左手前 チェーンリング MINIMUMNUTS(全て本人私物)


 

装飾的なデザインもさりげなくコーディネート


drama H.P.FRANCEで展開するジュエリーの中で、一番好きなブランドがtatsuonagahata(タツオナガハタ)です。自分が好きな「装飾的」な要素もありながら、繊細なデザインと、程よい存在感との絶妙なバランス。一見かっちりした雰囲気ですが、実際に着けてみると主張が強すぎないデザインが、自然とコーディネートに馴染むことが分かります。

ブランドによって石の選び方も様々ですが、tatsuonagahataはクリエイター自身が石のセレクトにもかなり拘っているので、色も透明度もカットも、まるで宝飾店に並ぶような美しいものばかり。それだけ綺麗な石を指輪に仕立てるとなると、どうしても豪華になりがちですが、そこを程よいデザインで仕上げていて、全く嫌らしさを感じさせないところが魅力だと思います。

 tatsuonagahataの指輪のコレクション(全て本人私物) 右上のブラウンダイヤモンドのリングは、昨年末に自分へのご褒美で買ったもの。元々ホワイトダイヤでしか作られない定番ラインですが、どうしてもブラウンダイヤが欲しくて、タツオさんにお願いして作ってもらった、思い出の一点です。年末のご褒美感がありました。


指輪のコーディネートは直感で決めますが、tatsuonagahataはテンションが上がるので常に着けていたいアイテム。色石は、洋服の色やその日の気分で選びます。左手薬指の重ね付けは、自分の中でいつも定番の組み合わせなので、その他の指でバランスを考えます。もしかすると、タツオさんご自身は一つ一つの作品を楽しんでもらいたいと思っているかもしれませんが(私)、僕は自己流コーディネートで重ね付けしています。重ねても馴染むし、他のブランドとミックスしても喧嘩しないところも、使い心地が良いです。
リング 人差し指・薬指 tatsuonagahata / 小指 上 GICLAT、下 :CAFCA(全て本人私物)
指輪は、人差し指と中指にボリュームを持たせる方が多いですが、自分はそのバランスを崩したくて、あえて薬指と小指にボリュームを持たせています。特に、左手薬指は結婚のイメージが強いので、そこにファッション感覚で重ね付けしたら可愛いかな、と。せっかくなら、全部の指でコーディネートを楽しみたいです。
ネックレス 上 hirondelle et pépin、中 MAYU、下 :CAFCA(全て本人私物)
二年ほど前に、店頭でパールのチャームを購入したことをきっかけに、パールものアイテムもお気に入り。当時、ダイヤモンドや色石は着けるようになりましたが、まだ手を出せていなかったパールに挑戦してみたところ、「男性でも全然いける」という新たな発見がありました。最近は電車でもパールを身に着ける男性を見る機会が増えたように思います。
ジュエリーの中でも特にフォーマルな印象が強いパールは、接客をしていても「普段に着けるの?」と驚かれる方が結構いらっしゃいます。自分は、カジュアルダウンした洋服にワンポイントでパールを合わせると、さりげなくエレガントさを投入できると思っています。あえて普段使いすることで、その美しさが引き立ちます。


 

日常に溶け込むジュエリー


昔ながらのジュエリーのイメージと言うと、家族から代々受け継いた大切なものという意味合いが強く、冠婚葬祭のような特別な場でしか着けない方もまだまだいらっしゃいます。僕自身は、せっかく良いものを持っているのに、普段から使わないのは勿体ないし、そういった特別なジュエリーを日常に落とし込むことで、よりコーディネート全体の幅も広がっていくと考えています。だから、毎日使うお気に入りのリングたちは、お風呂に入る時も寝る時も、基本的にずっと着けたまま。そして、何十年か使った後に誰かに受け継ぐことで、また次の世代に繋いでいけるのがジュエリーの良さだと思っています。そうやって使い続けるためにも、ジュエリーを買う時は18Kや10Kゴールド、シルバーなど、良い素材のアイテムを選ぶことが多いです。

 (右手)親指 二連リング VEKKEN by :CAFCA、一連リング GICLAT / 中指 hirondelle et pépin / 小指 tatsuonagahata(左手)人差し指 トップのシルバーリング VEKKEN by :CAFCA、その他 tatsuonagahata / 薬指 tatsuonagahata(全て本人私物)


綺麗な状態のまま寝かせたジュエリーは、不思議と肌に馴染みません。逆に、使い込んでいくうちに少しずつ汚れがついて、自分の色になっていきます。洋服は、どんなに良い素材であっても使い込むと段々と傷んできて劣化するため、完全に綺麗な状態には戻りませんが、ジュエリーはクリーニングすれば再び綺麗になるので、何十年先にも残すことができるものだと思っています。
もう一つ、洋服とジュエリーの違いは「気軽さ」です。肩パッド入りのかっちりしたスーツを着ると、周りの人からも「お出掛けかな」と気づかれる上に、着ている自分自身も少し緊張感が生まれます。対してジュエリーは、行く場所や格好に関係なくサラッと身に着けて、自分で楽しめるもの。近所のコンビニに行く時でさえ、気軽に着けることでモチベーションを上げてくれます。たとえば、上下スウェットのようなラフなスタイルに、ダイアモンドのジュエリーを合わせると、ギャップが生まれてすごく格好良くなると思うので、それくらい日常に馴染むアイテムとしてご提案していきたいです。

今気になっているアイテムは?


気になっているのはダイヤモンドです。既に何点か持っていますが、綺麗なカットや、インクルージョン、アンティークなど、色々なタイプのダイヤを集めたいです。最近は男性でもパールが流行り始めているので、今後はもっとダイヤにも手を出して欲しいですね。
男女関係なく、皆にとってジュエリーをもっと身近な存在としてご提案できる場所がお店だと思っています。このdrama H.P.FRANCEの空間を、ジュエリーに対する価値観や時間を共有できる場所にしていきたいです。