Jewellery Box
-私のジュエリーボックス-H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI
11月11日(木)~12月27日(月)
歴史を感じさせる装飾性の高い美しいジュエリーボックス。ヨーロッパでは、それらはアンティークな品としてでなく、自分にとっての特別なジュエリーをしまうものとして、ジュエリーを選ぶのと同じように大切に選ばれます。
美しいレリーフや背景にストーリーを感じさせるようなデザイン、心躍るような趣を携えたジュエリーボックスたち。10数年という時間をかけ、ジュエリーとともに集めてきた特別なジュエリーボックスには、 Halo H.P.FRANCE BIJOUXのヴィンテージを買い付けるロンドン在住のバイヤー 榊原の特別な想いが込められています。
——H.P.FRANCE BIJOUXで選ぶジュエリーが、 ジュエリーボックスにしまいたくなるような、あなたにとっての特別な出会いとなることを願って。
出会えたら、それはご縁。
もともとはH.P.FRANCE BIJOUXのショップディスプレイを目的に、機能性より味、雰囲気、デザインを重視して集め始めました。フェアやマーケットを探索中に、存在感のあるルックスが自然に目に飛び込んで来てくれる瞬間があって、そういう瞬間、そういう出会いを私はいつも大切にしています。それはアンティーク/ ヴィンテージのジュエリーの買い付けの時と同じです。
イギリスはアンティークスフェアやマーケットのメッカ。市内のフェアやマーケットの他にも、家畜の競売場とか競馬場などで催される地方の大きなフェアなど、大小様々なフェアやマーケットが各地であり、常に出会いの機会が与えられているというラッキーな環境にあります。加えて私は根っからのマーケット好きですから、パリ出張時は週末の蚤の市をスケジュールに入れ込みますし、ホリデーで訪れる観光地でも、マーケットがあれば必ず足を運びます。外のマーケットを回るのは、気候やその日の天気に左右される過酷さもあり、運に見放されて手ぶらで帰って来ることもしばしばなんです。だからこそ、探し求めていたものに出会えた喜びが、探す愉しさ、続けて行くエネルギーになって返って来てくれているように感じます。
1890’s French BOOK SHAPED BOX
出会う度にそのひとつひとつの魅力に心動かされ、飽きる事のないジュエリーボックス。
面取りした厚いガラスを真鍮で装飾した華やかなジュエリーボックスの多くは、おそらく1800年代後半~1900年代に作られたフランス製。丸、四角、楕円、六角、キャビネット型、ワードローブ型、バスケット型、フック付き懐中時計用、観光地の写真付きお土産品等々、形も装飾も実に様々。通常、中にはブルーやピンクのシルクの綿入れクッションが配されていて、類似するものは数あれど、まったく同じものが二つとない。ガラスに傷がつき、シルクが劣化してもなお、出会う度にそのひとつひとつの魅力に心動かされ、飽きる事がありません。 たとえばこのブック型。シェイプがレアなうえに、ガラスにも美しい装飾が施されていて、人生一度きりの出会いです。
1930’~60’s American BAKELITE RING BOX
プラスティックの前身、ベークライト製のボックスは、イギリスではアーㇽデコの時代に多く製作されました。今は使われていない素材がゆえに、なかなか見つけにくくなって来ています。特にリングボックスは需要が高く非売品も多いので、気に入ったものに出会えたらゲットしておきたいところです。その微妙な色合い、デリケートな素材は、決して高級でも豪華でもないのですが、どこかノスタルジックで雰囲気がある。パーソナルな想いと共に特別なリングを閉じ込めておきたいものです。
あなたが想いを寄せる特別なジュエリーとともに。
面取りした厚いガラスを真鍮で装飾したフランス製の華やかなジュエリーボックスは、真面目にただ正面を向けて置くだけでなく、ふたを開けて逆さまにして置いてみたり、複数を立体的なパズルのように積み上げたり重ねたり。この特別なディスプレーは、Sweet Pea初来日の際にブランドチーム自ら手がけたもの。100年以上も前の古いボックスをバランスよく組み合せてクリエイトする、アヴァンギャルドでミニチュア建築物のようなディスプレイは、やがてBijouxのスペシャリテに。Sweet Peaの色石のジュエリーとパーフェクトにマッチします。
マザーオブパールの飾り皿には、華奢なアンティークジュエリーやチャームを置いて。海にまつわるデザインのものも多く、素朴なデザインがどこかなつかしく、独特の雰囲気作りをしてくれます。マリンのテーマのアンティークチャームや、アンティークパーツを飾ったAnnina Vogelのジュエリーピースと一緒に置いて、海に想いを馳せたノスタルジックなディスプレー。
私の大切なジュエリーボックス。
私が集めて来たジュエリーボックスの数々は、必ずしも高価なもの、市場価値の高いものではなく、かと言って機能性が高いわけでもありません。でもきっと、それぞれにとって大切なもの、特別な想いや思い出があるもの、愛着があるもの。持っているだけで、眺めているだけで、きっと心躍らされたり、癒されたり、懐旧の情に駆り立てられたりしたことでしょう。そんな情緒のあるもの、センチメンタルヴァリュー(感情的価値)のあるものに惹かれます。
私自身が愛用している"ジュエリーボックス"は、薄い引き出しが24個付いた、縦長のオフィスキャビネット。鍵付きで、がっつり重い質実剛健タイプ。どこにでもある味気ないグレーのオフィスキャビネットだったものを、ロンドンのジュエリーブランド、Sweet Peaのアイデアで、メタルの表面全体にはあざやかなヴァイオレット色のフロッキーが吹き付けられ、中にはアンティークっぽい色合いのヴェルヴェット生地が敷かれています。10数年前、彼らのショップ改装時に払い下げになり、ラッキーな事にそれを譲り受けて以来、私の宝物を入れる宝箱に。引き出しのひとつには、"H.P.Samples"と書かれた手書きのラベルが付いたまま、時が止まってしまったよう。ジュエリーと時を共にした元オーナーの歴史と想いが秘められた、私の大切なジュエリーボックスです。