そこは紀元前より雨に育まれた神秘の森、屋久島。希少な苔に覆われた樹齢千年を超える数多の杉と野ツツジが生い茂る。屋久杉の大きな幹、澄んだ滝の流れ、繁茂する植物。漂うのは神秘的で繊細な大地の芳香。H.P.FRANCEとのコラボレーションの香り。
セーヌ河を見下ろし、アーティストたちの空想の世界のミステリアスな乱気流の中を飛行する宇宙船かのようなパレ・ド・トーキョーは、見る者の視線を引き寄せ、目線をそらすこことができない。常に情報に精通したフリーク(パレ・ド・トーキョー中毒のリピーター)なビジターたちが大勢集まり、熱気に満ちているうちっ放しのコンクリートの巨大な歩廊の迷路には、気持ちを揺さぶられるような香りが漂う。それは木片の燃える煙,熱くなった肌,メタリックなバイブレーションの醸し出すうっとりと酔わせるような香り。
そこには、“アロハ・サンシャイン"。カリフォルニア・レモンのわずかに酸味のある香りと、イランイランの濃厚な香り。そして、白いくちなしの花の香りがさまざまな表情を見せる。バニラの香りが心地よい陽射しの色をつけ、この官能的なブレンドに添えられている。
太陽が六甲山に沈んでいく。北野の街角で、その昔海外からの居住者が建てた古い欧風建築の間を歩く。大阪湾を遥かに見下ろす街角からは、砂糖漬けの生姜の温かく香ばしい香り、ぴりりと爽やかなコリアンダー・ルート、とろりと甘い無花果の香りが立ち上ぼる。
そこは、古い街中の窮屈な路地。人力車への潜入。暑過ぎる車内。幾千もの香辛料の香りが鼻孔まで立ち昇る。キンマ、安息香、麝香、没薬、そして燻した木、バニラ、ビディ煙草…。うっとりとするような一吹きの風を感じさせる。
オペラ・ガルニエの栄華:贅を尽くした蜜蝋で磨かれた、大ホールの木板張りの舞台上で繰り広げられるバレエのアントルシャ、バ・ド・ドゥ、ロンドジャンプ。多量の蜜蝋が採れる蜜蜂の巣箱が存在するオペラ座の屋根裏、その屋根まで続く豪華な木板張り仕上げの壁に包まれたホワイエには,流れ出す蜜蝋と蜂蜜のニュアンス,微量の白檀と安息香の気高さと陶然とした調和が広がる。
そこは、アガサ・クリスティの小説の中のイングリッシュ・ガーデン。豊かで官能的なモロッコの薔薇、トルコの芳しい薔薇の香り。そして、スミレ、ガルバナム、ヴァーベナの葉の香りが、スパイシーなシナモンの香りと共に放たれます。